投資家が抱える課題
「株式市場は長期的には伸びると分かっていても、暴落が怖くて資産配分を崩してしまう」
「気づいたら株式が膨らみすぎて、リスクを取りすぎてしまう」
投資家なら誰もが一度は経験する悩みです。
インデックス投資はシンプルですが、実際に暴落局面を迎えると感情的に行動してしまう人が少なくありません。
その結果、「安くなった株を売って、高くなった債券を買う」という逆効果の行動を取ってしまいがちです。
書籍『ウォール街のランダムウォーカー』でその対応策が述べられていましたが、大変勉強になったので、今回改めて掘り下げて考えてみました。
前回記事はこちら

書籍『ウォール街のランダムウォーカー』はこちら
リバランスをしないとどうなるか
リバランスをせずに放置すると、相場次第で資産比率が大きく崩れます。
- 株高が続けば株式比率が過剰に高まり、暴落が起きたときの下落幅が大きくなる
- 暴落後に株式を売ってしまうと、その後の回復局面に乗り遅れる
このように「上げ相場ではリスクを取りすぎ、下げ相場ではチャンスを逃す」という典型的な失敗パターンに陥ってしまいます。
リバランスの仕組み(具体例で解説)
リバランスとは、あらかじめ決めた資産配分に定期的に戻すことです。
例:株式60%・債券40%を目標とする場合
- 株価が上昇して 株式70%・債券30% になったら → 株を一部売って債券を買う
- 株価が下落して 株式40%・債券60% になったら → 債券を一部売って株を買う
これにより、自動的に「高くなった資産を売り、安くなった資産を買う」行動を取ることができます。
人間の感情に反するこの行動を、ルールとして仕組み化できるのがリバランスの最大の強みです。
株式と債券を組み合わせる意味
株式と債券は、値動きの方向が異なることが多い資産です。
- 株価が好調なとき → 金利上昇で債券価格は下がりやすい
- 株価が暴落するとき → 安全資産として債券が買われ、債券価格は上がりやすい
この「逆の動き」を利用することで、全体の資産変動を和らげることができます。
リバランスは、この性質を最大限に活かす戦略です。
暴落局面での効果
2008年のリーマンショックを例に考えましょう。
株式市場は50%以上下落しましたが、その時期は債券価格が上昇していました。
リバランスを実施していれば、値上がりした債券を売って、安くなった株を買えたのです。
その後市場が回復した際、安値で仕込んだ株式が大きな利益を生み、長期的な成果を押し上げます。
リバランスを行った投資家とそうでない投資家の差は、10年後に数百万円単位で広がることも珍しくありません。
守るべきリバランスのルール
効果を最大化するには、いくつかのルールを守ることが大切です。
以下例を挙げます。
- あらかじめ目標配分を決めておく(例:株式60%・債券40%)
- 年1回など定期的に見直す
- 配分が5%以上崩れたら調整する
- 暴落時もルールに従う(感情に流されない)
このような自分なりのルール、仕組みを守れば、暴落を恐れるのではなく、暴落をチャンスに変える行動がとれるようになります。
まとめ:リバランスは暴落に強い「自動の逆張り戦略」
リバランスは単なる資産配分の調整ではありません。
- 株式と債券の逆相関を利用してリスクを抑える
- 高値で売り、安値で買う行動を自動的に実行する
- 暴落をチャンスに変える仕組みを作る
このように、リバランスは長期投資を安定させるための「自動の逆張り戦略」なのです。
感情に振り回されず冷静に投資を続けたいなら、必ず取り入れるべき基本ルールといえます。
前回記事はこちら

書籍『ウォール街のランダムウォーカー』はこちら
コメント